事件のあらまし

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大正十二年に当時医学生であったYはカフェの女性Aと相思の仲になり、翌年ころから情交関係を持ち、この関係は昭和四年春まで五年有余継続した。
この間にAは懐胎し、昭和五年一月にXを分娩した。

XはYに認知を訴求した。

原審は

「本来、立証責任は収支認知請求者の側にあるが、懐胎期間中に相手方たる男との間に性的交渉のあった事実が立証された以上は反証がない限り、その性交によって妊娠したものと一応の推定がなされるべきであるから(事実上の推定)、懐胎期間中の他の男との関係を主張(不貞の抗弁)し、その事実を立証(反証)しない限り、右は事実上の推定を阻止することが出来ない物と解するのが相当である」

として、Xの請求を認容したので、Yが上告した。

最高裁は
「認知請求の訴えにおいては原告が立証責任を負うべき事もちろんであるが、本件事実関係によればAの懐胎期間中Y以外の男との情交関係事実は認められず、血液型上の背馳もないから、XをYの子と推認するに難くない。この推認を妨ぐべき別段の事情は存しないのであるから、XがYの子である事実が証明されたものと認めても経験則に違反しない」
として原告判決を支持した。

(最二判昭和三二年六月二一日)

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<まとめ>
男女間のSEX事実を積極的に立証する事無く、相思の仲(SEXする仲)=事実上の推定とし、反証するなら女側の他の男とのSEXを立証しなければ反証の事実無し(不貞の抗弁)として認知を破る事は出来ない。

コメント

Hotmilk
2013年8月20日22:25

通りすがりですが、DNA鑑定の確立した現代においても、認知においてはDNA型は問題とならないそうですね。

†ピクサス†
2013年8月21日8:12

>Hotmilk様

コメントありがとうございます!
DNA鑑定LVの科学的根拠さえも判例や結審に重きを置くのですね。勉強になりました、ありがとうございます!

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